住宅の建替えやリフォームを検討する際、多くの人は外壁のことについて調べることになります。このときよく出てくるのが「モルタル外壁」ですが、具体的にどのような特徴の外壁なのか、明確に理解できていない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、モルタル外壁の特徴やメリット・デメリット、塗装にかかる費用相場を解説していきます。住宅の建替えやリフォームの際の参考として、ぜひお役立てください。
モルタル外壁とは?
モルタル外壁とは、砂・セメント・水を混ぜ合わせて作った素材を、住宅の外装の下地に塗ったものです。以前までは主流の外壁でしたが、現在は施工がしやすいサイディング外壁がよく用いられています。とはいえ、一軒ごとに職人が丁寧に仕上げるモルタル外壁は、オリジナリティあふれるデザインから、今でも根強い人気を誇っています。
モルタル外壁の種類
モルタル外壁の仕上げ方法には、異なる工法の種類があります。それぞれの工法の特徴をまとめましたので、ご確認ください。
工法 | 特徴 | 費用相場(1平米当たり) | 耐用年数 |
リシン吹付け | ・表面が細かい砂のザラザラとした仕上がり ・耐久性や耐水性はやや劣る |
1,000円~2,000円 | 7~8年 |
スタッコ吹付け | ・模様が大きく厚い ・汚れが溜まりやすい |
2,000円~3,000円 | 8~10年 |
吹付けタイル | ・陶器調のツルツルした仕上がり ・耐久性が高い |
2,000円~3,000円 | 10~15年 |
左官仕上げ | ・左官職人がコテで仕上げる工法 ・デザインやカラーが豊富 |
4,000円~6,000円 | 15~20年 |
以下では、それぞれの工法をさらに詳しく解説します。
リシン吹付け
リシン吹付けは、砂利や樹脂などを混ぜ合わせた塗料を壁に吹付け仕上げる工法です。費用が安く効率が良い点がメリットですが、耐用性が他の方法に比べて低く、ひび割れが生じやすいデメリットもあります。表面はザラザラした砂状の仕上がりとなり、落ち着いたデザインに向いています。
スタッコ吹付け
塗料に大理石や骨材などを混ぜ、リシン吹付よりさらに厚みのある仕上げにするのがスタッコ吹付けです。リシン吹付けより耐用年数が長くなりますが、凸凹が大きい分汚れが溜まりやすい特性もあります。重厚感のある仕上げにしたい場合に用いられる工法です。
吹付けタイル
吹付けタイルは、陶磁器のように滑らかな手触りに仕上がるのが特徴の工法です。ひび割れや汚れに強く、手作業よりも安価に施工できる点がメリットです。耐用性と費用面から見ると、比較的コスパの良い工法であるといえます。
左官仕上げ
左官仕上げは、職人がコテで施工する工法です。手作業のためデザインの自由度が高く、バリエーション豊かな外壁に仕上げられます。デメリットとしては、職人の技術により質が左右されやすい点や価格が高価である点が挙げられます。
モルタル外壁のメリット
現在主流ではないモルタル外壁を、建替えやリフォームする際に選ぶ必要があるのでしょうか。ここからは、モルタル外壁のメリットを紹介していきます。
デザイン性が高い
モルタル外壁は、職人の手によってさまざまな仕上げ方ができ、豊富な色やデザインを選択することが可能です。また、継ぎ目がなく統一感が感じられる美しいデザインも魅力的です。
飛来物などの衝撃に強い
モルタル外壁は、衝撃に強く破損しづらいのもメリットです。台風や竜巻が発生した際に、飛来物が衝突したとしても、簡単に破損することはありません。
耐火性が高く有毒ガスが発生しない
モルタル外壁の原料は、セメント・砂・水とすべて不燃性なため、万が一火事になった際、火が燃え移るリスクが低く被害を最小限に抑えられます。また、モルタルから有毒ガスが発生することもなく安心です。
モルタル外壁のデメリット
モルタル外壁には、メリットだけでなくデメリットも存在します。建替えやリフォームを施工して後悔がないよう、事前に確認しておきましょう。
ひび割れ(クラック)のリスクが高い
モルタル外壁は、経年劣化や乾燥、地震や地盤沈下の影響により、下地がひび割れを起こしやすいです。ひび割れが大きくなると、雨水が住宅に侵入してしまい、住宅内部の腐食、鉄骨のサビにつながる可能性が出てきます。
外壁に白い粉が発生する(チョーキング)
モルタル外壁は、紫外線により塗料の樹脂が劣化することで、白い粉が発生することがあります。そのまま放置すると防水性がなくなり、住宅の内部に雨水が侵入するようになるため早めの塗装が必要です。
外壁が汚れやすい
モルタル外壁は、雨の跡が残りやすかったり、カビやコケが発生しやすかったりと、汚れが目立つ傾向にあります。また、紫外線の影響により色あせしやすいことも気になるポイントです。住宅の耐久面には関係ありませんが、黒色や緑色に汚れたり変色したりすることで、外壁の外観を損ないやすいのはデメリットといえます。
外壁が浮いたり剥がれたりすることがある
モルタル外壁は、劣化症状が深刻化すると、塗膜の浮きや剥がれが目立つようになり防水性が失われます。そのままにしていると、塗膜が剥がれた箇所から雨水が侵入し、雨漏りを引き起こす可能性があります。
クオリティに差が出やすい
仕上げを職人が行うモルタル外壁は、施工者の技術が仕上がりに直接影響するため、クオリティにばらつきが出やすいのもデメリットでしょう。再塗装や補修の手間を少なくしたいなら、信頼できる職人や業者に依頼することが大切です。
モルタル外壁の塗装や補修はDIYできる?
塗装や補修のDIYは、劣化症状の進行度によってはできない場合があります。軽いひび割れや色あせ程度であれば、業者に依頼せずに自分で修理できます。ただし、下地づくりから施工し直す必要があるほどひび割れや剥がれが深刻な場合には、DIYで対処することは難しいです。
劣化症状が深刻であるにもかかわらず自分で作業してしまうと、シーリング材が密着しなかったり、塗装がすぐに剥がれてしまったりと品質が低い仕上がりになってしまいます。モルタル外壁の劣化症状が目立つ場合は、下手に手をつける前に、外壁塗装業者に任せた方が安心かつ効率的です。
モルタル外壁塗装の費用相場
モルタル外壁の塗装を業者に依頼する場合、気になるのが費用面です。一般的に、約30坪の一軒家であれば、約60〜90万円がモルタル外壁塗装の費用相場とされています。ただし、塗料の種類や仕上げ方法によって、費用相場は異なります。
塗料の種類 | 再塗装が必要な築年数の目安 |
アクリル塗料 | 約50〜80万円 |
シリコン塗料 | 約70〜100万円 |
光触媒 | 約110〜160万円 |
もちろん料金面は重要ですが、サービス内容も確認し、十分に納得できる業者に依頼することが大切です。
まとめ
モルタル外壁は、デザイン性の高さから今でも根強い人気を誇っています。ただし、ひび割れしやすかったり、外壁が汚れやすかったりと、塗装や補修が必要になるケースが多いのも事実です。とはいえ、劣化症状が深刻な場合でも、業者に依頼すればデザイン性を損なうことなく補修してもらえるので、お困りの方は一度相談してみてはいかがでしょうか。
業者に外壁の塗装を依頼する際は、代表自身が職人を務めている「菊地塗装企画」にご相談ください。品質が高いことはもちろん、職人直営店だからこそできる良心価格で塗装を行っております。部分修理や応急処置など些細なご依頼も丁寧に対応いたしますので、お困りの際は一度ご連絡ください。