ウレタン防水とは?3つの工法の違いとメリット・デメリットを解説

防水工事のひとつに「ウレタン防水」があります。一般家庭で採用されることが多い施工方法ですが、具体的にどのようなことを行う工事なのでしょうか?今回は、ウレタン防水の3つの工法とメリット・デメリットについて解説していきますので、興味をお持ちの方はぜひ読んでみてください。

ウレタン防水とは

ウレタン防水は、主に住宅の平らな箇所に行う防水工事です。液体状のウレタン樹脂を使い、防水層を形成して雨水によるトラブルを防ぎます。また、ウレタン防水といってもいくつか種類があり、現場の状況を見てどのような施工をするのかを決める必要があります。

ほかの防水工事との違い

防水工事には、ウレタン防水のほかに「FRP防水」や「シート防水」があります。FRP防水は、プラスチック製の繊維を敷き詰め、その上を樹脂で固める施工方法です。またシート防水は、塩化ビニール製のシートを熱や接着剤で貼り付ける施工方法となります。それぞれの工法の比較を表にしましたので、ご確認ください。

工法 メリット デメリット
ウレタン防水 ●費用が安価
●継ぎ目なく施工できる
●伸縮性が高い
●施工の難易度が高い
●乾燥に時間がかかる
FRP防水 ●防水性が高い
●衝撃に強い
●工期が短い
●費用が高い
●施工場所を選ぶ
シート防水 ●下地を選ばず施工が可能
●品質に差が生じにくい
●仕上がりが滑らか
●1箇所の亀裂や穴が全体のダメージになる
●費用が高い

ウレタン防水の3つの工法

先ほども軽く触れましたが、ウレタン防水といってもさまざまな種類に分かれています。一般的には以下3つの工法がありますので、それぞれの特徴をきちんと把握しておきましょう。まず、それぞれの工法の特徴を比較して表にしましたので、参考にしてください。

工法 向いている施工箇所 施工方法 施工の難易度
通気緩衝工法 湿気が多い箇所や雨漏りをしている箇所 通気緩衝シートの上からウレタン樹脂を塗る 高い
密着工法 一般家庭のベランダなどの狭い部分 床に直接ウレタン樹脂を塗る 低い
メッシュ工法 均一になりにくいベランダや屋上など メッシュシートの上からウレタン樹脂を塗る 中間

続いて、それぞれの工法についてさらに具体的に解説していきます。

通気緩衝工法

通気緩衝工法は、湿気が多い箇所や雨漏りをしている箇所への施工に向いています。直接ウレタン樹脂を塗らず、通気緩衝シートの上から塗っていくのが特徴です。防水施工の際、下地に浸入した水分が日に当たって湿気となると膨れの原因となります。通気緩衝工法は下地の水分を脱気装置で外部に逃がす仕組みになっており、湿気による防水層の膨れを防ぐ効果があります。比較的高度な技術を必要とする工法で、費用が高くなる点はデメリットです。

密着工法

密着工法は、一般家庭のベランダなどの狭い部分に適している工法です。床面に直接ウレタン樹脂を塗るシンプルな工法のため、費用が安く工期も短いです。また、通気緩衝工法で設置する脱気筒も不要であり、場所を選ばず施工できます。一方で、下地の影響を受けやすく、床面の状態によっては防水層のひび割れ・膨れなどが発生しやすくなる点は、この工法のデメリットです。

メッシュ工法

メッシュ工法は、先述した通気緩衝工法と密着工法の2つの中間にあたる施工方法です。均一になりにくいベランダや屋上などの場所に適しています。床面にメッシュシートを貼り付け、その上からウレタン樹脂を塗ります。密着工法に比べてひび割れを起こしにくいという特徴を持つ一方、通気緩衝工法のような湿気対策効果はありません。

ウレタン防水のメリット

ウレタン防水には以下のようなメリットがあるので、依頼する前にチェックしておきましょう。

  • 費用が安価
  • 継ぎ目なく施工できる
  • 伸縮性が高い

費用が安価

ウレタン防水は、FRP防水やシート防水と比べて費用が安価な点がメリットです。また、10〜14年ほどの耐用年数を持ち、コストパフォーマンスに優れているのも魅力です。

継ぎ目なく施工できる

ウレタン防水は継ぎ目が発生しないため、既存の防水層の上から重ねて塗装ができ、撤去や処分の工程が不要です。また、継ぎ目がないことから剥がれや捲れも生じません。

伸縮性が高い

ウレタン防水で使うウレタン樹脂は、高い伸縮性を持っています。そのため、建築物の劣化の症状でよく見られるひび割れを起こしにくいというメリットがあります。一方、FRP防水は硬膜を形成するため、建物の動きの影響でひび割れを起こしやすいです。

ウレタン防水のデメリット

ウレタン防水には以下のようなデメリットもあるので、特性をよく知ったうえで依頼するかどうか検討しましょう。

  • 施工の難易度が高い
  • 乾燥に時間がかかる

施工の難易度が高い

防水面の施工は、雨水が流れるための傾斜が重要です。ウレタン防水は、3ミリほどの厚みになるよう、均一に塗り重ねる必要があります。また、使用する塗料の撹拌が足りないと、硬化不良や防水性の低下といったトラブルが生じるおそれがあります。

均一な仕上がりにするには、正しい知識や技術が必要です。施工の難易度が高いので、業者選びをきちんとしないと後悔することになってしまうでしょう。

乾燥に時間がかかる

ウレタン防水の樹脂塗料は、硬化に3〜10日程度かかるのが一般的です。一方、FRP防水は乾燥時間が短く、おおよそ1〜2日で完了します。乾燥期間中は、バルコニーやベランダに立ち入れない不便さが気になってしまうかもしれません。

ウレタン防水で施工した後のメンテナンス方法は?

ウレタン防水で施工した箇所は、定期的なメンテナンスで効果持続期間を延ばすことができます。自分でできるメンテナンス方法は、「床面の清掃」「排水口の清掃」「トップコートの塗り替え」の3つが挙げられます。

ウレタン防水の効果の寿命は10年前後です。もし劣化が見られた場合、業者に塗り替えを依頼しましょう。

ウレタン防水のメンテナンスが必要なサイン

ウレタン防水は10年に一度ウレタン樹脂の塗り替え、5年に一度トップコートの塗り替えを行うのがメンテナンスの目安です。その他にも、以下のような劣化の兆候が現れたら、メンテナンスを検討しましょう。
□表面の色褪せ
□ひび割れ
□一部分に水が溜まる
□排水溝が詰まっている
□雨漏りが生じている
□防水層が膨れている

施工箇所や住居条件に合った防水工事を依頼することが大切

ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を塗装して防水層を形成する施工です。ほかの防水工事と比べ、比較的安価に施工できるというメリットがあります。ただし、業者によって仕上がり具合が異なるといったデメリットもあるため、特性を理解したうえで最適な防水工事を選びましょう。

「菊地塗装企画」は各種塗装工事をメインに、足場仮設工事、防水工事、シーリング工事などを行っている施工会社です。お客様のご要望にお応えできるよう、国家資格を取得しているスタッフのみで施工を進めてまいります。時代・環境に合った施工方法と最新技術にも目を向けつつ、より良い施工を提供できるよう努めてまいりますので、防水工事をご検討でしたらお気軽にご連絡ください。