屋根塗装の耐用年数は?塗料別の違いと長持ちさせるポイントについて詳しく解説

屋根塗装される木の家

 

屋根塗装には費用がかかるため、「できるだけ長持ちさせたい」と考える方がほとんどでしょう。塗料や屋根材に関する基本知識を知っておくと、適切なメンテナンス時期を知るのに役立ちます。今回は、塗料別の耐用年数と長持ちさせるポイントについて解説していきますので、興味をお持ちの方はぜひ読んでみてください。

屋根塗装の耐用年数は?

まずは、屋根塗装の耐用年数について見ていきましょう。ただし、住まいの状況によって多少前後するので、あくまでひとつの目安としてご活用ください。

 

  •  一般的な耐用年数
  •  塗料別の耐用年数
  •  屋根の素材による耐用年数

 

一般的な耐用年数

一般的に、屋根塗装の耐用年数はおおよそ10年前後といわれています。屋根は、建物の中で紫外線や外気に触れやすい場所であるため、外壁の1.5倍ほどの早さで劣化するとされています。住居の立地条件によって、湿気やすさや汚れやすさなどはそれぞれ異なるため、定期的に状態を確認し劣化状況に応じたメンテナンスを行いましょう。

屋根の素材による耐用年数

屋根の素材の耐用年数にも違いがあります。屋根材そのものが劣化してきたら、塗装の質を上げてコーティング力を強化し、寿命を延ばす必要があります。

また、屋根材の耐用年数を超えた際のメンテナンスは、塗装ではなく葺き替えになるでしょう。主な屋根材の耐用年数を以下の表にまとめましたので、ご覧ください。

 

粘土瓦(塗装不要)

50年以上

セメント・コンクリート

30年程度

化粧スレート

20〜25年

天然スレート

20年以上

トタン

10〜20年

ガルバリウム鋼板

30年程度

銅板(塗装不要)

60年以上

アスファルトシングル

20〜30年

 

塗料別の耐用年数

塗装の際に使用する塗料のグレードによっても、耐用年数がそれぞれ異なります。メンテナンスの頻度を減らしたい場合は、多少費用が高くても耐用年数の長い塗料を選ぶのがおすすめです。屋根塗装で主に使用する塗料のおおよその耐用年数を、以下の表で確認してみましょう。

 

アクリル樹脂塗料

約5~7年

ウレタン樹脂塗料

約8~10年

シリコン樹脂塗料

約10~15年

光触媒塗料

約20年

 

屋根塗装の塗料を詳しく解説

屋根塗装に使用する塗料には、それぞれ特性とメリット・デメリットがあります。ここからは、代表的な塗料の詳細を深掘りして解説していきますので、目当てのものがあればぜひチェックしてみてください。

 

  •  アクリル樹脂塗料
  •  ウレタン樹脂塗料
  •  シリコン樹脂塗料
  •  ラジカル制御型塗料
  •  フッ素樹脂塗料
  •  光触媒塗料
  •  遮熱系塗料

 

アクリル樹脂塗料

屋根塗装に使用される塗料のうち最も安価なのが、アクリル樹脂塗料です。塗膜が硬く光沢感があるため、鮮やかな色を出せる点はメリットです。

しかし、耐用年数が短いため、近年では屋根塗装に使用されることは少なくなりました。頻繁な塗替えを想定している方や、鮮やかな色に挑戦してみたい方は選択肢のひとつに入れてみると良いでしょう。

ウレタン樹脂塗料

ウレタン樹脂塗料は、アクリルの次に安価で耐用年数が短い塗料です。伸びが良く密着性が高いため、ヒビができている箇所をカバーするのによく使われています。一方、防汚性が低く紫外線にも弱いため、見た目の劣化が早いのがデメリットです。

シリコン樹脂塗料

現在、屋根塗装で特に多く使用されているのがシリコン樹脂塗料です。汚れにくく耐久性が高い、また紫外線にも強く色あせが起きにくいといった特徴を持っています。価格と耐久性のバランスが良いものの、塗膜が硬く、密着性が弱いのでひび割れを起こしやすい点はデメリットです。

ラジカル制御型塗料

ラジカル制御型塗料とは、劣化因子である「ラジカル」を抑制する性能を持つ塗料のことです。アクリル樹脂塗料に高耐候酸化チタンと光安定剤を合成することで、シリコン樹脂塗料と同等、もしくはそれ以上の性能を持つ塗料となっています。コストパフォーマンスに優れた塗料として注目されつつありますが、比較的新しく開発された塗料のため、実績が少ない点はデメリットかもしれません。

フッ素樹脂塗料

フッ素樹脂塗料は、耐薬品性・耐熱性・撥水性などに優れた性能の高い塗料です。塗装面が滑らかで、艶も持続しやすいという外観上のメリットが多くあります。ただし、一般住宅に使用される塗料の中では高価格帯で、費用面で選択しづらい点はデメリットです。

光触媒塗料

光触媒塗料は、太陽光で汚れを浮かせ、雨で汚れを流す「クリーニング機能」を備えている塗料です。こちらもフッ素樹脂と同様に値段が高い塗料であり、一般住宅に使用されるケースは少ないです。また、施工に技術が求められる塗料のため、仕上がりが業者の腕に左右されやすい塗料といわれています。

遮熱系塗料

遮熱系塗料は、光を反射する性能を持ち、室内の暑さを軽減する効果が高い塗料です。夏に猛暑になる地域の方や、光を吸収しやすい濃い色の屋根を使用している方におすすめです。費用は高めですが、自治体によっては省エネリフォームのための助成金を活用できるケースもあります。

屋根塗装の耐用年数を短くする原因

施工や塗料選びに失敗すると、屋根塗装の耐用年数を縮めてしまうおそれがあります。メンテナンス費用を無駄にしないためにも、以下2つの点に注意しましょう。

 

  •  質が低い塗料
  •  仕様基準を守らない施工

 

質が低い塗料

先述したとおり、塗料にはあらかじめ耐用年数が決められています。耐用年数の短い塗料にも、価格の安さなどのメリットはありますが、塗料の知識がなく業者の指示だけに従ってしまうと失敗するリスクが高くなります。

業者によっては、十分な説明なく自社が売りたい塗料を強引に営業してくることも少なくありません。塗料を決める際は、それぞれの性能や耐用年数など基本知識を知ったうえで選択しましょう。

仕様基準を守らない施工

質の高い塗料を選んだとしても、メーカーが定める仕様基準に沿った施工を行わないと、本来の性能を十分に発揮できません。仕様基準には、塗布量や乾燥時間などが挙げられます。

たとえば塗布量については、適正量が使用されているかどうか見積書をしっかり確認しましょう。また、有資格がそろっていて施工実績の多い会社なら、知識や技術の面で安心して依頼できるはずです。

屋根塗装の耐用年数を超えているサイン

前回の塗装から時間が経っていなくても、劣化のサインが見られることがあります。屋根に登って確認することは難しいかもしれませんが、2階から1階の屋根を見る、双眼鏡を使うなどの方法で定期的にチェックすることはできるでしょう。塗装が耐用年数を超えているサインとして、主に以下のようなものが挙げられるので、何か異常が見られたら早めにメンテナンスしましょう。

 

  •  艶がなくなる
  •  チョーキングが起こる
  •  コケや藻、カビが生える
  •  ひび割れができる
  •  剥がれ、そりができる
  •  サビができる

 

艶がなくなる

塗装の艶がなくなるのは、劣化の初期に見られるサインのひとつです。緊急性は高くありませんが、防水性は徐々に衰えていることが予想されます。劣化が進行する前に、メンテナンスの計画を考えることをおすすめします。

チョーキングが起こる

チョーキングは、屋根の表面にチョークの粉のような白い粉が浮き出る状態のことを指す言葉です。チョーキングは、主に塗料に含まれる合成樹脂が紫外線や雨により分解されて生じます。塗装の耐久性・防水性が低くなっているサインなので、チョーキングにも注意が必要です。

剥がれ、そりができる

紫外線や雨風を受けると塗膜が劣化し、剥がれやそりが起こります。塗膜が剥がれた部分から水分が入り込むと、コケやカビ、サビなどが生じます。色あせだけでなく剥がれまで生じ始めた際には、早めのメンテナンスを検討してみてください。

コケや藻、カビが生える

屋根塗装の防水性が低くなると、屋根材が水分を含むようになりコケや藻、カビなどが発生します。初期段階では表面につくだけですが、放置していると内部にまで浸食していきます。最終的には、屋根材そのものが使えなくなり、葺き替えが必要となることもあるので放置は禁物です。

ひび割れができる

ひび割れの原因には、屋根材の水分膨張・収縮のほか、飛来物による損傷などが挙げられます。ひび割れを放置しておくと、屋根材内部まで浸水するようになり、雨漏りなどの原因となります。ひび割れが軽微な場合は塗装でコーティングできますが、損傷が激しい場合はカバー工法や葺き替えが必要になるかもしれません。

サビができる

トタンは金属系の屋根材であり、サビが生じやすいです。また、釘やナット、ビスの部分も同様に金属のため、サビが生じます。サビは一度生じると一気に広がるため、早めの対処が必要です。

屋根のメンテナンスが面倒な場合はどうする?

メンテナンスの手間が面倒に感じる方は、塗装不要の屋根材を検討してみましょう。たとえば、瓦は屋根材の中では比較的高額ですが、塗装の必要がほぼないため、葺き替えの選択肢に入れてみても良いでしょう。屋根塗料を選ぶ際は、価格の安さだけではなく、耐用年数も考慮したうえで決めるのが重要です。

耐用年数をチェックし、定期的に屋根のメンテナンスを実施することが大事

屋根塗装の耐用年数はおおよそ10年前後ですが、屋根材の種類や塗料によって耐用年数が異なります。そのため、基礎的な知識を身に付けたうえで業者に依頼すると、話がスムーズに進みます。また、一般的な耐用年数だけでなく、実際の劣化状況にも目を配り、適切な時期にメンテナンスすることも重要です。

「菊地塗装企画」は、一般住宅塗替え専門店として、各種塗装工事をメインに足場仮設工事や各種防水工事、シーリング工事などを行っております。小さな塗装や部分補修のほか、診断のみのご相談も喜んで対応しており、地域でも評判の施工会社として認知されています。屋根は点検が難しく、劣化に気づかず放置しているお客様も多くいらっしゃるので、屋根に関するお困りごとがございましたらぜひご連絡ください。