外壁を見たとき、「コケがつき始めたけど放っておいたらまずいの？」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。コケは外壁の内部まで浸食すると対処が難しく、早めの除去が大切です。今回は、自分でできる対処法と、業者に依頼するかどうかの見極め方を紹介しますので、興味をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
外壁にコケができる原因
本来、新築の外壁の表面にはコケの胞子は存在していません。しかし、経年とともに近隣の林や川べりなどから風でコケの胞子が飛び、付着して増殖が始まります。コケは水分を吸収して成長していくため、劣化して防水性が低下し、湿気を帯びた外壁にはよりコケがつきやすくなるのです。
コケがつきやすい住居とは？
コケは湿気を好む特性があります。そのため、以下の条件の住居はコケがつきやすいといえます。
- 川べりの家
- 林や森が近い家
- 日当たりが悪い家
- 近隣の建物・住まいとの距離が近い家
- 高い塀に囲まれている家
- 凸凹が多い外壁がある家
立地環境がコケの繁殖に適した場所にある場合、住居の外壁にコケの胞子が付着しやすくなります。また、北側の壁など日当たりが悪い場合も湿気やすくなるため、コケが成長しやすいです。
さらに、家同士の距離が近かったり、高い塀に囲まれていたりすると風通しが悪くなり、これもコケにとって繁殖しやすい環境となります。さらに、凸凹が多いデザインの外壁は、溝に水や汚れが溜まりやすくなりコケの繁殖を促します。
外壁のコケを放置してはいけない理由
外壁のコケは、見た目が悪くなるだけの問題ではありません。ここからは、外壁のコケを放置してはいけない理由について解説していきます。
- 健康被害
- 建材を脆くする
- 外壁を腐食する
健康被害
外壁にコケが生えたまま放置していると、家の中にもコケの胞子が入りやすい状態となり、健康被害を起こすおそれがあります。コケはアレルギー性皮膚炎誘発物質で、人体に有害です。
またコケがある環境は、同時にカビも発生しやすく、カビによる鼻炎や皮膚炎も懸念されます。家族の健康を守るため、家の中を清潔に保つのと同様に外壁のコケもこまめな除去を心がけましょう。
建材を脆くする
コケの繁殖が進むと、「中性化現象」が生じます。中性化現象とは、酸性とアルカリ性の相反する性質同士のものが反応し、性質を変えることです。
外壁の場合、アルカリ性の外壁に酸性のコケが反応して中性化し、建材が脆くなります。悪化した場合には、手で触っただけで崩れるほど脆くなるケースもあります。
外壁を腐食する
多くのコケが外壁に根付いていると、外壁は常に水分を溜め込んでいる状態となります。水を常に吸った状態の建材は、反りなどの劣化を引き起こし、最終的には躯体まで弱くします。外壁のコケによる腐食率があまりにも高いと、洗浄や補修は不可能となり張替え工事が必要となるケースも珍しくありません。
外壁のコケは自分で対処できる？
外壁のコケの被害状態には段階があり、初期段階であれば自分で対処することも可能です。コケの状態がまだ自分で対処できる段階かどうかを見極める要素として、以下の2つがあります。
- コケの程度
- コケの範囲
コケの程度
1つ目のチェックポイントは、「コケの程度が表面的か内部まで及んでいるか」です。これは、外壁が水を弾くかどうかで簡単に確認できます。
たとえば外壁に水をかけたときに、水玉ができて弾いている様子があれば、塗装の塗膜が衰えていない状態です。コケが見られても表面的なものなので、スポンジやブラシでお手入れできるでしょう。
一方、外壁の水をかけた部分の色が濃くなり、水を弾かない場合は外壁の劣化度が高いといえます。外壁自体が湿気るようになっており、コケの浸食度も高いことが予想されます。この場合、表面を掃除してもまたすぐにコケが付着してしまうため、自分での対処は難しいです。
コケの範囲
コケの程度が軽度でも、コケができている範囲が広いと自分での対処が難しい場合があります。特に2階以上での清掃は、足場を組まないと実施できません。安全面の観点から、高所の作業は無理をせず業者に依頼するのがおすすめです。
自分でコケの処理をする方法
コケが軽度である場合は、自分でコケの処理ができます。まずは、以下の道具を用意しましょう。
- ブラシ
- スポンジ
- 雑巾
- ゴム手袋
- 中性洗剤
- コケ取り専用薬剤
- ホース
- バケツ
最初に水をかけ、それだけで落ちる汚れを落としていき、残ったコケやそのほかの汚れをブラシやスポンジで擦って落とします。この際、硬いブラシやスポンジを使ったり、力を入れすぎたりすると外壁を傷つけるおそれがあるため注意しましょう。水だけでは落ちない汚れについては、中性洗剤やコケ取り専用薬剤を使用して除去すると良いでしょう。
高圧洗浄機は使ってもいい？
手作業のほかに、高圧洗浄機を使うとより効率的ですが、高圧洗浄機は適切な水圧で正しく使用する必要があります。強すぎる水圧で外壁に目には見えない傷がつくと、そこにコケの胞子が入り込み、より状態を悪化させる原因にもなりかねません。高圧洗浄機を使う場合は弱めの水圧に調整し、同じ場所に当て続けないように注意しましょう。
業者にコケの処理を依頼するメリット
コケの対処は、軽度であれば自分でもできますが、業者に依頼することには多くのメリットがあります。ここからは、以下3つのメリットについて解説していきますので、依頼の際の参考にしてみてください。
- 壁を傷めずに高圧洗浄ができる
- 近隣への配慮に悩む心配がなくなる
- 修繕・塗装も同時に依頼できる
壁を傷めずに高圧洗浄ができる
自分でコケの処理を行う場合、スポンジやブラシの手作業ではきれいに落としきれず、コケが再繁殖する場合も少なくありません。また、市販の高圧洗浄機を使うと、水圧の調整が難しく外壁を傷つけるおそれもあります。
業者に依頼した場合、壁を傷めるリスクがないうえに、徹底的な洗浄が叶います。業者は専門知識とノウハウを豊富に持っているので、目に見えないコケの胞子の除去はもちろん、再繁殖を防ぐのも容易です。また、手が届きにくい高所の作業も安心して任せられるでしょう。
近隣への配慮に悩む心配がなくなる
高圧洗浄をする場合、水が飛び散るため養生は欠かせませんが、業者に依頼すれば、養生作業までしっかり行うため安心です。確実な養生が行えていると、近隣住人とのトラブルも避けられます。業者によっては近隣への挨拶や告知をしてくれる場合もあり、最後まで不安なく見届けることができるでしょう。
修繕・塗装も同時に依頼できる
コケが重症化している場合、外壁塗装の防水性能が劣化している可能性が高く、コケの除去だけでなく塗装も必要です。ほかにも、経年劣化によるひび割れなど修繕必要箇所が見られるかもしれません。
業者に依頼すれば、コケの除去と外壁の修繕・塗装が同時に行えるので効率的です。また、まとめて依頼すれば費用が安くなることも多いので、業者の施工プランをホームページなどで確認してみると良いでしょう。
外壁のコケを予防する方法
コケができてしまったら、その後の除去は欠かせませんが、外壁にコケができないようにする予防策も大切です。最後に、外壁のコケを予防する方法を3つ紹介していきます。
- 風通しの良い環境を作る
- コケに強い塗料を使う
- コケに強い外壁材
風通しの良い環境を作る
通気性が悪いと、コケが成長するのに最適な環境を用意してしまうことになります。風通しを良くするために、湿気やすい北側の面だけでも工夫すると環境は大きく改善されるでしょう。
また、家の周囲をブロック塀で囲んでいる場合、フェンスや生垣に変えると効果的です。また、庭の土壌に軽石を混ぜると水はけが良くなり、湿気を溜め込みにくくなります。
コケに強い塗料を使う
川べりなど湿気が多い地域に住んでいる場合は、コケに強い塗料で塗装するのもひとつの方法です。塗料によっては、菌が繁殖しにくくなる薬剤を混ぜた、防カビ・防藻機能を持つものがあります。
また、光触媒塗料には、コケの胞子や汚れを浮かせて雨水で流すセルフクリーニング機能があります。塗料によって持つ性能や強みは違うため、施工のプロと相談し住居環境に合ったものを選択しましょう。
コケに強い外壁材を検討する
張替えの際、コケに強い外壁材を選ぶのも有効です。凸凹が多い以下の外壁材は、やっかいなコケができやすいといわれています。
- モルタル壁
- リシン壁
- スタッコ壁
一方で、表面がつるつるとした外壁は比較的コケがつきにくいです。以下に挙げる3つは特におすすめなので、参考材料として頭の中に入れておきましょう。
- サイディング外壁（セメント質や繊維質）
- 金属
- タイル
外壁材の表面をコーティングするのが塗料のため、外壁材と塗料は合わせて検討する必要があります。コケが気になる場合、その点を伝えたうえで業者におすすめのものを教えてもらいましょう。
外壁のコケは早めの対処が大切
コケは水分を好む特性があり、湿気やすい環境や風通しの悪い住宅の外壁につきやすいです。外壁の表面についているだけの段階では自分で清掃できますが、内部まで浸食していると対処が難しく、業者への依頼が必要となるでしょう。手遅れになると修繕ができず張替えになるケースもあるため、不安な症状が見られる場合は早めの対処を検討してみてください。
「菊地塗装企画」では、一般住宅塗替え専門店として、各種塗装工事をメインに足場仮設工事や外壁調査・補修工事、各種シーリング工事を行っております。職人直営店のため、低価格・高品質・納得の施工とアフターサポートの提供が可能です。小さな塗装や部分補修、応急処置など細かいご要望にも丁寧にお応えいたしますので、外壁のコケでお悩みでしたらぜひ一度ご相談ください。
