塗料には、建物の機能性を高めるさまざまな効果を持った種類のものがあります。その中のひとつが、熱を遮る効果を持つ断熱塗料です。太陽光の影響を受けやすい屋根や外壁に使うことで、建物の中にまで多くの効果をもたらします。
今回は、断熱塗料が持つ5つの効果や、耐用年数・費用相場などの特徴、断熱塗料と合わせて行える断熱対策について解説します。建物を良い状態で保ちたい方や、室内で快適に過ごしたい方はぜひ参考にしてください。
断熱塗料とは
断熱塗料とは、太陽の熱や紫外線によって発生する熱の伝導を抑える効果を持つ塗料のことです。屋根や外壁に断熱対策を行っていないと、夏場は太陽の強い熱に影響され室内が高温に、反対に冬場は寒くなってしまいます。断熱塗料を用いることで、夏は外よりも涼しく冬は外よりも暖かい室内温度を叶えるのです。
断熱塗料の耐用年数
断熱塗料の耐用年数は、一般的に12〜20年 程度といわれています。屋根・外壁用の塗料としてよく使われるウレタン塗料やシリコン塗料よりも、耐用年数が長い のが特徴のひとつです。
断熱塗料の費用相場
一般的な断熱塗料の平米単価は、3,500〜4,000円 が相場です。断熱という特別な機能を持つ分、通常のウレタン塗料やシリコン塗料よりも費用相場が高くなります。ただし、塗り直しの頻度が低いため、長期的に見るとコストパフォーマンスは決して悪くありません。
遮熱塗料との違い
断熱塗料と似た効果を持つ塗料に、「遮熱塗料」があります。どちらも外気の熱を遮る効果がありますが、実は効果が大きく異なります。
断熱塗料 遮熱塗料
特徴 ・熱の伝導を抑える
・室内への熱の侵入を防ぐ
・室内への冷気の侵入を防ぐ ・熱を反射して発生を妨げる
・室内への熱の侵入を防ぐ
耐用年数 12〜20年 10〜20年
費用相場 (1平米あたり) 3,500〜4,000円 2,600〜3,500円
熱伝導を抑制する効果を持つ断熱塗料に対し、遮熱塗料は熱を反射する効果を持つ塗料です。どちらも熱の侵入を防ぐ特徴はありますが、仕組みが大きく異なります。
また、断熱塗料は熱だけでなく冷気にも効果的です。しかし、遮熱塗料は熱にしか効果がないため、冬の寒さを補うことはできません。一方的に熱を遮断してしまうため、冬場の快適さが得られない可能性があります。
断熱塗料の使用がおすすめの家の特徴
以下のタイプの家は断熱塗料の使用がおすすめです。
□金属素材の屋根を使用している
□屋根の真下にリビングがある
□3階建て以上の戸建て
□吹き抜け設計
このような家は太陽光の熱の影響を受けやすく、室内で暑さを感じやすいです。太陽光の熱を遮る断熱塗料がおすすめの家であるといえます。
断熱塗料で得られる5つの効果
熱と冷気どちらにも有効な断熱塗料の効果は、断熱だけではありません。ここからは、断熱塗料の5つの効果を紹介していきます。
- 室内温度を快適にする
- 光熱費を節約できる
- 結露の発生を抑える
- 防音効果が高まる
- 塗り直しの回数を減らせる
室内温度を快適にする
先述したように、断熱塗料は「熱の伝導を防ぐ」効果に優れています。熱や冷気を室内に伝わりにくくするため、暑い夏場は涼しく、寒い冬場は暖かく過ごすことができます。
光熱費を節約できる
断熱塗料によって室内の温度が自然と快適になるため、冷房器具や暖房器具を使う頻度を下げることができます。その結果、光熱費の節約やエコにつながります。通常の塗料よりも費用が高めな断熱塗料ですが、光熱費を考慮するとコストパフォーマンスが高い塗料といえるでしょう。
結露の発生を抑える
結露は、室内と外の気温差が大きいときに発生する現象です。結露を放置するとカビやダニの原因となり、家の劣化だけでなく人体の健康にも大きな影響を与えます。しかし、断熱塗料なら室内と外の温度差を小さくし、やっかいな結露を防ぐことが可能です。
防音効果が高まる
断熱塗料は表面に厚みがあります。そのため効率良く音を跳ね返し、室内から発生する音を漏らさない効果に優れているのです。また、外部からの音も防いでくれるので、建物の周囲の環境音が気になるという方にも断熱塗料はおすすめといえます。
塗り直しの回数を減らせる
断熱塗料の耐用年数は12〜20年 程度と、ほかの塗料に比べて比較的長めです。たとえば10〜15年が耐用年数といわれているシリコン塗料 と比べると、状況によっては2倍ほど長持ちするため、手間のかかる塗り直しの回数を減らすことができます。
断熱塗料と合わせてできる断熱対策
断熱は、建物の状態を保つために欠かせない施工のひとつです。断熱塗料だけでなく、ほかの断熱対策を組み合わせることで、より室内で快適に過ごせるようになります。断熱塗料と組み合わせたいおすすめの断熱対策は、主に以下の3つです。
- 屋根に断熱材を入れる
- 断熱カーテンを使用する
- 窓を重点的に対策する
断熱材を入れる
断熱対策としてよく用いられる方法が、天井裏や床、壁に断熱材 を入れることです。ただし基本的に断熱材を入れるにはリフォームが必要となり、簡単に行えるわけではありません。
断熱カーテンを使用する
DIYで断熱対策をしたい人には、断熱カーテンがおすすめです。既存のカーテンを二重にしたり、厚手のものに変えたり するだけでも断熱効果を得ることができます。
窓を重点的に対策する
熱や冷気がダイレクトに入りやすい窓は、重点的に断熱対策を行いましょう。主な断熱対策として、断熱サッシ への交換のほか、窓ガラスに断熱効果のあるシートを貼る などの方法が挙げられます。窓には断熱塗料を塗ることができないため、室内からの断熱対策に励みましょう。
断熱塗料のデメリット
断熱塗料の採用には多くのメリットがありますが、状況によってはデメリットになり得る要素もあるため、十分な比較検討をしましょう。注意したいポイントは以下の2つです。
□価格が高め
□効果が実感しにくいケースもある
価格が高め
断熱塗料は他の一般的な塗料と比べると、費用が高めの価格帯となります。また、冷気を防ぐ機能がない遮熱塗料と比べても割高です。断熱機能が本当に自宅に必要かをよく検討したうえで採用を決めるとよいでしょう。
効果が実感しにくいケースもある
室内の暑さや寒さにはさまざまな原因があります。断熱塗料では解決できないものもあり、施工後の効果が実感できないケースもあります。また、外壁にもともと断熱材が使われている場合は、断熱塗料を塗装してもあまり違いを感じないかもしれません。
建物が断熱塗料の効果を発揮するのに向いているか、塗装業者とよく相談したうえで決める必要があるでしょう。
まとめ
断熱塗料とは、外からの熱や冷気の伝導を遮る効果を持つ塗料のことです。一般的な塗料よりも費用はかさみますが、比較的耐用年数が長いほか、断熱や防音などのうれしい効果があります。断熱により光熱費も削減できるため、コストパフォーマンスが高い塗料をお探しの方は選択肢のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。
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