屋根塗装の目的とは?屋根材・塗料別に施工の特徴を詳しく解説

屋根塗装する作業員


新築の住まいを購入し、数十年ほど時間が経過したときに気になってくるのが「屋根塗装」についてです。屋根塗装には美観だけではなく、屋根材を保護する目的もあります。今回は、屋根材や塗料別に施工の適切な時期と、屋根材・塗料の特徴について解説していきますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

屋根塗装の目的3つ

屋根塗装を行う目的は、主に以下の3つとされています。自分がどんな目的を持っているのかをあらかじめ業者に伝えられると、よりイメージの近い仕上がりになるでしょう。

 

  •  美観を維持するため
  •  屋根を保護するため
  •  屋根に機能性を持たせるため

 

美観を維持するため

屋根塗装は、主に「住宅の美観を保つため」に行われます。屋根は経年劣化によって剥がれや色あせが生じるため、塗装により美観を取り戻す必要があります。住宅全体に清潔感を持たせられるほか、色を変えれば気分を一新させることもできるでしょう。

屋根材を保護するため

屋根塗装は、美観のためだけでなく、屋根材を保護する目的もあります。屋根材のほとんどは、紫外線や雨によって劣化するため、表面にコーティングが必要です。塗膜で表面を覆い、紫外線・水・酸素などが屋根材に直接触れないよう守る必要があるのです。

屋根に機能性を持たせるため

塗料の中には付加性能を持つものもあり、住宅条件や用途に合わせて選択できます。塗料の性能の例として、主に以下のようなものが挙げられます。

 

  •  遮熱
  •  断熱
  •  防カビ
  •  防汚
  •  弾性
  •  セルフクリーニング

 

たとえば夏に室内が暑くなりやすい住居の場合、遮熱性能のある塗料により、屋根から吸収される熱が室内に影響しないようにできます。また、湿気の多い地域や大通り沿いで汚れが気になる場合などは、防カビや防汚性のある塗料を選ぶのがベストです。

屋根材別の塗装について

屋根塗装の必要性と塗替え時期は、屋根材によって少々異なります。ここからは、一般的に広く使われている屋根材について解説していきますので、自分が検討しているものがあればぜひ参考にしてみてください。

 

  •  スレート
  •  金属
  •  瓦

 

スレート

屋根材に多く使用されているのが「スレート」です。スレートの原料はセメントで、薄く軽い特性があり、耐用年数は20~25年ほどとされています。しかし、塗膜が傷むと吸収により劣化が早く進むので、10年前後で塗り替える方も珍しくありません。

金属

金属系の屋根材には、トタンやガルバリウム銅板などが挙げられます。金属の屋根は軽量で耐久性が高いですが、サビやすい一面を持っているので、サビによる浸食が広がる前に適切な塗装メンテナンスが必要です。

金属系の屋根材の塗替えの目安は、トタンが5~8年、ガルバリウム銅板は10~15年とされています。金属は環境からの影響を受けやすいため、海風や鉄粉・ホコリにさらされやすい地域では、より早い時期での塗り直しが必要になる場合もあります。

瓦には、伝統的な粘土を焼き固めたタイプの粘土瓦と、それ以外の製法で作られたものの2種類があります。粘土瓦は陶器のような表面に防水効果があり、50〜100年ほどの長い耐久性があるので、基本的に塗装は不要です。また、経年による色あせも風合いとして楽しめます。

一方、コンクリートやセメント、金属を瓦状に加工した屋根材は、本来の瓦とは別物です。このタイプの瓦は、ほかの屋根材と同様に定期的な塗装メンテナンスが必要となります。

屋根塗装が必要か見極める方法

屋根塗装の適切な時期は、一般的な推奨年数だけでなく自宅の状態によって見定める必要があります。一般的な塗替え時期より早くても、劣化が進んでいるならメンテナンスが必要でしょう。ここからは、以下2つの判断方法を紹介していきます。

 

  •  屋根を見て判断する
  •  外壁の劣化具合から判断する

 

屋根を見て判断する

屋根に以下のような症状が見られたら、塗替えが必要な時期であると判断しても構いません。

 

  •  色あせ
  •  カビ・こけ
  •  屋根材の膨張や反り
  •  ヒビ
  •  サビ
  •  塗装の剥がれ

 

塗装劣化のサインの中で、最初の方に現れるのが色あせです。焦る必要はありませんが、放置しているとサビや剥がれなどの発生につながります。

屋根は雨風を受けやすいため、塗膜の防水機能が衰えるとサビや剥がれ、カビやこけなどが生じます。また、飛来物により傷が入り、ヒビが生じている場合もあるでしょう。劣化が屋根材内部まで進行しないうちに、プロに点検してもらうことが大切です。

外壁の劣化具合から判断する

たとえば、一度もメンテナンスをしていない場合、屋根と外壁の経過年数はほぼ同じと考えられます。屋根は外壁よりも太陽に近い位置にあり、雨風にもさらされやすいため、より早く劣化します。外壁に劣化が見られるなら、屋根はそれ以上に劣化が進んでいると予想できるでしょう。

屋根塗装に使う塗料を解説

屋根塗装に使う塗料によっても、耐用年数や性能は異なります。ここからは、代表的な塗料の特徴とメリット・デメリットについて解説していきますので、塗料選びの参考にしてみてください。

 

  •  アクリル樹脂塗料
  •  ウレタン樹脂塗料
  •  シリコン樹脂塗料
  •  ラジカル制御型塗料
  •  フッ素樹脂塗料
  •  光触媒塗料
  •  遮熱系塗料

 

アクリル樹脂塗料

アクリル樹脂塗料は非常に低価格帯ですが、耐用年数が比較的短く、コストパフォーマンスが高いとはいえないため、近年ではあまり使用されなくなりました。しかし、透湿性が高い特性があるため、鮮やかな色を出すのには向いている塗料です。頻繁に色を変えたい方は、選択肢のひとつに入れても良いでしょう。

ウレタン樹脂塗料

ウレタン樹脂塗料は、アクリルの次に低価格な塗料です。耐用年数は長くても10年程度で、防汚性が低く紫外線にも弱いという特徴を持っています。一方、伸びが良く密着性が高いため、ヒビができている箇所をカバーするために使用するのに有効です。

シリコン樹脂塗料

シリコン樹脂塗料は、現在屋根塗装で特に多く使用されている塗料です。状況によって異なるものの、おおよそ15年ほど劣化しないケースも多く、価格と耐久性のバランスが良いとされています。

また、シリコン樹脂塗料は防汚効果が高く、変色しにくい機能性も持ち合わせています。さらにカラーバリエーションも豊富で、デザインの選択肢が多いのも特徴です。

ラジカル制御型塗料

ラジカル制御型塗料は、塗料の劣化を抑える性能を持っています。一般的に多く使用されているシリコン塗料に比べて価格は高めですが、耐用年数も10年以上と長めになっているのが魅力です。

また、ラジカル制御型塗料はチョーキングが起こりにくく、防汚性・防カビ性に優れています。ただし、比較的新しく開発された塗料のため、事例・種類ともに少ない点はデメリットです。

フッ素樹脂塗料

フッ素樹脂塗料は、一般住宅に使用される中では高価格帯に入る塗料です。蛍石などから採れるフッ素樹脂を使用しており、おおよそ20年の耐久性があるとされています。また、表面に光沢がある仕上がりになるのも特徴です。

光触媒塗料

光触媒塗料は費用が高く、一般住宅用に使用されることが少ない塗料です。太陽光で汚れを浮かせ、雨で汚れを流すクリーニング機能を備えているのが特徴です。ただし、光触媒塗料の施工には技術と専門性が必要なため、業者によっては施工できない可能性もあります。

遮熱系塗料

遮熱系塗料は、光を反射する性能を持つ塗料です。屋根に塗装することで、室内の暑さを軽減する効果があります。費用は高いですが、フッ素樹脂塗料と同様に20年ほどの耐久性を誇っています。また自治体によっては、省エネリフォームとして補助金を申請できるケースも珍しくありません。

屋根塗装の施工の流れ

屋根塗装を業者に依頼した場合、主に以下の流れで進んでいきます。

 

  •  足場の設置
  •  養生
  •  高圧洗浄
  •  下地処理
  •  下塗り
  •  上塗り
  •  足場の撤去

 

屋根塗装は、全体で7~10日ほどの工期がかかります。塗料は十分に乾燥させる必要があり、雨天などで工期が延びるケースもあるため、余裕を持ってスケジュールを立てることが重要です。

屋根塗装において重要なポイント

業者に依頼する場合は、以下3点の詳細を聞き、適切な施工をする業者かどうか確認しましょう。

 

  •  下地処理をしっかり行っているか
  •  適切な縁切りをしているか
  •  塗料の仕様基準を守った施工を行っているか

 

下地処理をしっかり行っているか

屋根の表面に汚れやサビなどが残った状態で塗装をすると、塗装にむらができやすく、早期に剥がれなどが生じる原因にもなります。また、下地処理の段階で修繕が必要なヒビや傷などが見つかった場合、適切な処置をしてくれる業者かどうかチェックしておくと安心です。

適切な縁切りをしているか

スレート屋根の場合、重なりの部分に塗料が入り込み、排水のための隙間を埋めてしまうことがあります。これを防ぐために必要なのが、タスペーサーという部材を挿入し、適切な隙間を作る「縁切り」の作業です。屋根の状態によって縁切りの要・不要が異なるため、あらかじめ聞いておくと良いでしょう。

塗料の仕様基準を守った施工を行っているか

塗料の性能を最大限に発揮させるためには、仕様基準に沿った施工が必要です。豊富な知識や経験を持つ業者は、適切な塗料の選出や施工方法を熟知しています。業者を選ぶ際は、資格や施工事例の有無も確認しておきましょう。

快適な暮らしを守るために適切な時期の屋根塗装を!

屋根塗装の目的は、美観を保つだけでなく屋根材を守る目的もあります。また、選択する塗料によっては、防汚性や遮熱性などの機能を付与することもできます。屋根塗装時期の大まかな目安は10年前後ですが、屋根材や塗料によっても異なるため、劣化状態を確認して適切な時期にメンテナンスしましょう。

「菊地塗装企画」は職人直営店で、高品質で安価な施工を提供しております。国家資格を取得している実力のあるスタッフのみで施工いたしますので、初めての方も不安なくお任せいただけます。屋根は日常生活において点検するのが困難であり、劣化に気づかないお客様も少なくありませんので、屋根に関するお困りごとがございましたら気兼ねなくご連絡ください。